設立の趣旨

わが国の医療制度は、戦後50年有余の間に国民皆保険制度の実現とその充実が図られるなど、めざましい進歩を遂げました。しかし、同時にいろいろな問題や課題も生まれました。

そうしたなか、21世紀を迎えましたが、この新世紀は人体の謎を解くゲノム科学を中心とした「生命科学の世紀」ともいわれています。そして前世紀末からの医療や医療保険制度を取り巻く環境の激変等で、現行制度に内在している矛盾や不合理への是正策は大きな社会問題として位置づけられ、制度全体の抜本的改革が急務とされています。それはまた、本格的な少子・高齢社会の到来に備えた制度改革でなければならず、1日も早い保健・医療・福祉政策等の変革とその積極的推進が期待されるところであります。

折しも政府は健康政策の一環として、生活習慣に視点を置き、 QOL(人生の質)をベースにして、「生涯を通じた積極的な健康づくりの設計」を呼びかけた「健康日本21(国民健康づくり運動)」の政策に取り組みを始めました。現在、国民の健康に対する価値観・ニーズは多様化しております。そのため、保健医療福祉分野においても画一的でない柔軟性のある様々なヘルスケアサービスの提供と対応といった意識改革が求められています。

これまで、保健医療福祉分野で活躍されてきた産業保健婦・産業ナース等の役割は高く評価されておりますが、今後その活動領域はさらに広がり、役割も益々重要視されようとしております。

本研究会は、保健活動に携わっている現役やOBの専門職の方々を中心に、会員相互の情報交換・交流をはじめ、保健科学の領域に関する調査・研究、並びにセミナー等を通じ専門職としての資質の向上に寄与していくことを主たる目的に設立するものです。

幅広くかつ限りない研鑽の積み重ねは、私達国民の「健康と幸せ」に貢献できる道と考えました。多くの方々のご理解とご賛同を賜れば幸いです。

平成13年2月
保健科学総合研究会 設立準備会
代表 木村 辰男

<設立準備委員(アイウエオ順)>
飯島美世子(健康保険組合連合会)・埋忠洋一(三和銀行東京健康管理センター)・大内講一(国際医療福祉総合研究所)・木村辰男(健康保険組合連合会)・小杉冨美子(キャノン健康保険組合)・猿山淳子(関東地区デパート健康保険組合)・清水高子(清水ヘルスケア主宰)・多田芳江(雪印乳業健康保険組合)・堀江正知(NKK京浜保健センター)・松岡秀枝(松下電器健康保険組合)・和田勝(帝京平成大学)